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Day.24-2002.08.06 Day.23 へもどる
 今日も、青空の広がる南国の朝を迎えた、はずだった。・・ところがなぜか、私達のドミトリーの部屋にはどよ〜んとした空気が流れていた。暗いっ!暗すぎるっ!きっと洗濯物を溜めているからだろう。明日からは連続ツアーが始まることだし、まずはお洗濯お洗濯。

 菜津子は3人から洗濯物を回収し、ランドリールームに出かけた。そして部屋に戻ってくると。。。

 暗いっ!

 さっきは起きていたはずの猛とキヨ君が、なぜかまたベッドに寝転んでいる。しかも2人一緒のベッドに。

 菜津子、一瞬本気でドキッとする。

 さかのぼる事数ヶ月前。“保正君は偽装結婚してるんだと思ってた”と、初めてお会いした猛の勤務先の先輩に言われたことがよみがえる。単に、猛のおっとりした口調と、自分のことを話す時、会社員時代のまま“私は〜”と言っていたのが疑惑の発端だった。男性でも“私は”と言うのはごくごく普通のことだと思うのだが、ゴールドコーストのそのオフィスでは、“私は〜”と話す猛がとても奇妙に映ったらしい。

 
 “な、何やってんの?”と突っ込みかけた菜津子。しかしその瞬間、前夜の出来事を思い出した。


 実はキヨ君、ラウンド出発直前に彼女ができた。つまり、いわゆる“超ラブラブ”状態で彼女をゴールドコーストに残し、男らしく旅に出たのだ。キヨ君と合流した当初は、“え、ほんまに?ウヒャッヒャッヒャ♪”なんていう会話の切れ端が、連夜バッパーの廊下に響き渡っていたものだ。しかし、何日か前から彼女と連絡が取れなくなっていた。私達が電波のつながりにくい地域にいたこともあるが、公衆電話などから彼女に電話しても、なぜかつながらなかったのだ。

ふさぎ込むキヨにそっと寝袋姿で添い寝をする猛


 そして前夜、ようやく彼女と電話で話すことが出来たキヨ君、衝撃の告白を受けた。話を要約すると、どうやら早くも“フラれかけている”らしい。まぁ、気持ちが最高潮に盛り上がっているところで“ほな、行ってくるし。2ヶ月くらい会われへんわ。”と言われ、電話もろくにつながらないとなれば、振りたくなる彼女の気持ちもわからないではない。しかし、“常に彼女アリ”しかも“亭主関白”タイプの彼にとって、これは非常に効果的な(?)一撃だった。

 お互いにあまり干渉しない関係であった私達3人組。基本的にキヨ君を放っておいたのだが、キヨ君があまりにもグズグズ転がっているので、なぜか猛も“参戦”したらしい。

 みんなで少し話をしたが、キヨ君の心はさっぱり晴れる様子がない。それはそうだろう。猛は昔から、“ダメなら次っ!”のタイプだし、猛の影響を強く受けた菜津子も、言うまでもなく“はい次行こうっ!”なタイプになっていた。

 京男キヨ君に必須な“ボケとつっこみ”もなく、今のキヨ君に一番欲しい“大丈夫だよ!”という励ましもなく、2人から提案された最高なアドバイスとして“ちょっと間をおいてみたら?”最低のそれとして“もう、いいんじゃない?”と言われては、出る元気も出ないというものだ。


 “猛とのふれあい”からは何も得ることが出来ず、保正家のアドバイスに失望したキヨ君、自分のベッドに戻って歌を歌いだした。キヨ君、実は歌がとっても上手だ。有名なコンテストで賞を獲ったこともあるらしい。しかし、この時の歌だけは頂けなかった。“どよ〜ん”とした空気に、自分で追い討ちをかけてしまったのだから。

 
 このままでは今日一日が無駄になってしまう・・・。危険を感じた保正家は、とりあえず食料品の調達に出かけた。
 スーパーマーケットで朝昼兼用ごはんの買い物をした猛と菜津子。あちこちお店をのぞきながら、のんびりと町を歩いた。

 ブルームは“過去に繁栄した町”だが、現在は観光地への転換を目指しているような印象を受けた。多くのお店が“リゾート地”を演出するような内装で、お店を見ているだけで楽しい気分になる。ただ、西オーストラリアと言う流通・輸送ルートに難のある土地柄のせいか、はたまたリゾート地故の設定か、物価はお世辞にも安いと言えなかった。

 町の中にインターネットカフェを見つけた私達。早速メールチェックをした。ネットカフェで使用されているコンピューターは、勿論全て英語の
OSに英語のソフトだ。ただ、多くのインターネットカフェで日本語入力(ローマ字入力の場合)ができるので、日本にいる家族にも不自由なくメールが送信できる。

余談だが、私達が帰国時によく利用する韓国の仁川空港にも、インターネットが出来るコンピューターが数台置いてある。しかし、入力できるのはアルファベットかハングル文字(2003年現在。今は変わっているかも)。日本に到着後すぐ待ち合わせをする友達と連絡を取る場合、その友人は、“yoteido-ri, naritani tsukisoudesu. 7:00pm gotanda de OK desu.”(予定通り、成田に着きそうです。7:00pm 五反田でOKです)というローマ字のみのメールを受け取ることになる・・・。

 インターネットカフェを出て更に歩くと、サーフショップ発見。特にこれといった目的もないが、とりあえず入ってみることにした。そこで猛が見つけたもの。つばの広い麦わら帽子である。これこそ正に“衝動買い”。“似合うかなぁ”と数秒迷った後、お買い上げである。

 猛が衝動買いをし、“チャンス到来!”とほくそえんだのが菜津子。実は彼女、あの忌まわしい“
水着事件”からまだ回復できていなかった。必要に駆られて“パッドなし”の水着を買い、勇気を振り絞って着たのはいいが、まわりの迫力満点の西洋女性と比べるとその貧弱さ、スタイルの悪さは言うまでもなく、猛におねだりをしてラッシュガードを買ってもらい、何とかしのいできたのだ。今までの移動中も、チャンスがあれば水着売り場に行き、商品チェックを欠かさなかった菜津子。

 ーブルームには、いい風が吹いていた。

 ずらーーーーっと並ぶ水着の中に“
New Arrival”の文字。そしてその中に、菜津子の好きな色&デザインの水着。そしてなんと!!!バスト部分に立体感が!!!!!

 帽子を買ってご機嫌の猛を、水着売り場に引っ張り込む。まず、水着を見せて見る。

“かわいいじゃん”
“でしょ? でね、胸パッドがついてんの。ほら”
“おー。いいじゃん”
そう、実は猛も妻の貧弱な姿には胸を痛めていたのだ。
“でもね、新作だから高いんだよね。ラッシュガードも買ってもらったばっかりだし、今の水着を着る事にするよ”
“ん〜。ちょっと高いけど、買えば?この水着を何年も大事に着ればいいんじゃないの?”


かくして、“自信度アップ”の水着は菜津子のものになった。しめて$86.90(約6,500円)。ご機嫌な菜津子。かたや一目ぼれの“旅人アイテム”帽子を手に入れ、こちらも上機嫌の猛。そろそろキヨ君が待ちくたびれているかもと、急ぎ足でバッパーに戻った。

 “キヨー。ただいま。”ドアを開ける。

 何とキヨ君、まだパジャマ姿でふて寝している。

 貝の様に口を閉じ、駄々っ子のように動かない彼を一生懸命ベッドから誘い出し、何とかご飯を済ませた私達。今日はあの“
キャメルライド”に必ず参加するべく、昨日よりも1時間早いバスに乗ることを予定していた。そしてその前に訪れる予定にしていたのが、真珠養殖について展示がされている博物館。


 その博物館は、とても小さかった。展示室は1つ。当時の潜水服などが展示されている。建物の外には船も展示されてあり、当時の様子をうかがい知ることができる。前日に日本人墓地を訪れた後だけに、この博物館は興味深くまた、あんなに重そうな潜水服を着て海に潜ったのかと、更なる驚きと衝撃を覚えた。

博物館に展示されていた船


 午後3時30分。“今日こそは”と、昨日よりも1時間早いバスに乗って私達はケーブルビーチに出かけた。当然集合時間よりも早く到着した私達は、軽食を摂り、ラクダに乗る時間を心待ちにしていた。相変わらずさえない顔のキヨ君も、このツアーには期待しているようだった。

この重装備なので、座り心地は良かった。ラクダには暑いかも?


 5時。4時30分の集合時間から大幅に遅れて、おじさんはやって来た。今日も多くのツアー客がいる。そして、おじさんは参加者に、ある地点までビーチを歩くよう指示。昨日は確かバスに乗って移動していたはずなのに。。。と思いながら、言われた所まで行き、待つこと数分。ラクダの群れがやって来た。

勇ましく、駱駝上の人となる??


 見た瞬間、“ラクダだ!”と思った。当たり前なのだけど、これだけの数のラクダが揃うと結構迫力がある。マスクを被ったラクダや、口の部分だけにマスクが被されているラクダなど、装いは様々だ。口の部分にマスクをしているラクダは、きっと気性が荒いのだろうな、などどのんきに構えていたら、保正家に割り当てられたラクダの口にはマスクが。。。どうやらキヨ君は、顔面マスクのラクダに乗ることになったようだ。

夕日を背にラクダは進む


 ラクダは1列につながれていて、参加者は1人または2人ずつ背中にまたがる。そしてそのまま海岸をゆっくり進みながら、海に日が沈む様子を眺める、というのが基本の流れである。“暴れん坊将軍”のようにとは言わなくても、単騎でぶらぶらできるのかとひそかに期待していた私達の予想とは違ったが、ラクダの背に揺られて見る夕日は風情があって良かった。


 突然、数頭前のラクダが暴れた。あたりにざわめきが広がる。どうやら落馬ならぬ落ラクダが出た模様だ。ラクダの体高は結構高い。振り落とされたら、砂浜の上とはいえ、かなり痛いだろう。
 落ちた人、大丈夫かな?と伸び上がって前方を見た保正家。ラクダに振り落とされ、痛みと驚きで立ちすくむその背中。つばのある帽子、白いTシャツ・・・

 “キヨ!!!! 大丈夫?!!!

いきなり振り落とされ、途方に暮れるキヨ君


 今にも彼女に振られそうなキヨ君。ラクダに振り落とされ、悪いツキも落ちてるといいのだけど。。。

 
おじさんたちが遅れたおかげでツアーは夜までずれ込み、ビーチからそのままラクダの家までたどり着いた頃には夜7時。あたりはすっかり暗くなり、夜の冷気に私達は体を震わせた。
 送迎バスを待つ間、あるものが私たちの耳と目を釘付けにした。

日はゆっくりとインド洋に沈む


“ジョボジョボ・・・”
 あまり聞きなれない音が聞こえた。あたりが暗いため、すぐには“それ”を見つけられなかった私たち。
 “ジョボジョボ”
音はまだ続いている。
 音の発信源を見つけた3人。 かたまった。。。
 一仕事終えたラクダの1頭が、排尿中だったのだ。

ラクダは砂漠地帯を何日間も歩けるよう、体内の水分をなるべく外に出さないようにしているのだと聞いたことがある。ここのラクダはきっと、お水がいつでも飲める環境にあって体質が変わったのかもしれない。

 大きな体から排出する量は半端ではないらしく、他に見るものもなかった私たちは、更に1分以上、この光景を拝見することになった。

日が落ちると、空気は一気に冷たくなる。でも、ラクダはゆっくり進む


 送迎バスでバッパーまで戻った私達は、夕食を済ませ明日からのキャンプに備え荷造りを始めた。

 結局一日中立ち直れなかったキヨ君。“もう、ラウンドええわ・・・”という一言も誰にも取り合ってもらえず、イヤホンでCDを聞きながら、ベッドに潜り込んだ。
Day25へ




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