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Day.44-2002.08.26 Day.43へもどる
 朝10時にチェックアウトすると、私達は近くのスーパーへ出かけた。旅行中は荷物を増やしたくない一心で、必要な時に必要なものだけをチョコチョコ買っていたので、結果的にほとんど毎日買物に出かけていた。この日買ったのは、お水と“インスタント・ミーゴレン”。最近、スーパーマーケットに行って、これ以外のものを買っていないような気もするけど。。。

 朝昼兼用の食事が終わると、私達にはすることがなくなってしまった。この日午後3時頃のバスに乗る予定だったのだが、荷造りは朝の内に済ませてしまっている。スーパーマーケットに行きがてら町の中の散策も何度となくしているので、特に出歩く気にもなれない。何となく談話室に腰を落ち着けた私達の目を奪ったのは、またもやテレビであった。

 この日放映されていた映画は、2001年に公開されて大ヒットしていた『Harry Potter and THE PHILOSOPHER'S STONE(ハリーポッターと賢者の石) 』。この“ハリー・ポッター”シリーズの名前は聞いたことがあっても、子供向けのお話だと思い込んでいた私達。最初の内は何となく眺めていたのだが、その内どんどんと引き込まれ、結局映画が終わるまで夢中で見てしまったのだった。


1日に2回見ることになった、“ハリー・ポッターと賢者の石”


 映画が終わって時計を見ると、意外に出発時間まで間がないことに気付いた私達。急いでバッパーを出発し、歩いて10分ほどのターミナルまで向かう。バックパックを背負い、一様に手に握り締めているのはバスチケットのみ。ここからは、既に購入しているこの“オジー・エクスプローラー(Aussie Explorer)”という名前のキロメーター・パス(Kilometre Pass)”が大活躍するのだ。

 
 通称“キロパス”と言われるこのチケット、まず購入の際に有効距離を決めて買うのが特徴だ。私達が購入したのは“6,000kmパス”。進む方向に関係なく6,000km分バスに乗ることができる。
 私達はエクスマウス(Exmouth)〜ポートヘッドランド(Port Hedland)〜ブルーム(Broome)間の移動にもバスを利用しているが、当然乗車ごとに買うよりもチケット代はお得だ。ただし、万が一チケットをなくすと再発行の手数料を支払わなければいけないので、大変と言えば大変なのだが。。。

 バスに乗るたびにバス会社が距離を計算し、使用できる距離が減っていくこのシステム。“当社のシステムで残距離を算出します”と謳ってはいるものの、そこがオーストラリアの面白いところ。
 日にちは違えど、全く同じルートでバスに乗ったはずの保正家とキヨ君とでは、最終的に不足した距離が異なったのだった。


旅を共にしたキロ・パス(左)と時刻表。当時679ドルだったこのチケット、
2007年には875ドルに。時代を感じる


 チェックインをしてバスに乗り込んだ。バスの中には冷房が効いているが、いつもの通り車内には色々な匂いが漂っている。ここから目的地のマウント・アイザ(Mt.Isa)までおよそ16時間。このむせた様な香りに耐えられるかしらと、ちょっと心配になる3人組。


 ほぼ定刻通りにバスは出発した。見尽くしたとは決して言えないけれど、それぞれが色々な思いを持ちながら日々を過ごし、違った意味で思い出に残るであろうこの町を、私達は後にした。




 バスはテナント・クリーク(Tennant Creek)まで北上した。このテナント・クリークは、内陸を旅する人にとって重要なバスの乗り換え地点となる。ここから北上すればダーウィンへ、南下すればアリス・スプリングスへ戻り、更に南下するとアデレードまで行くことができる。私達が向かったのは東。その先には、懐かしいクイーンズランド(Queensland)州が待っているのだ。

 アリス・スプリングスを出発して約7時間半、夜10時30分頃バスはテナント・クリークに到着した。決して早い時間ではないというのに、バスターミナルには多くの人々がいた。そのほとんどがアボリジニの人々で、中には子供の姿も多く見られた。彼らはバスに乗り込む様子もなく、ただそこにいた。

 ここにいる人々がどういった暮らしをしているのか、なぜこの時間にここにいるのか、わからない事だらけだった。もしかしたらバスに乗ってやって来る知人を迎えに来ていたのかもしれない。でも、アボリジニの人々が背負う辛い現実を多く耳にした後では、人々の表情がとても暗く虚ろなものに思えてしまった。
 
 アボリジニの人々は政府から補償を受けているという話を聞いたことがあるけれども、アリス・スプリングスやテナント・クリークで私達が目にしたアボリジニの人々を見る限り、オーストラリアにおける先住民と、入植者によって設立された国家との問題は簡単に解決されるものではない、根深いものなのだろうという印象を受けた。


少しでも無駄のないスケジュールにするため時刻表と睨めっこ。
1週間に1本という路線も・・・


 この日午後3時からバスに乗っているだけだった私達。長いと言われれば長い距離だったが、窓から見えるたくさんの星を見ながら“帰って”いく気持ちは、何とも言えずホッとするものだった。

 サーファーズ・パラダイスを旅立ってから早44日。私達は皆、サーファーズ特有のあのゴチャゴチャした空気を、少し懐かしく思っていたのだった。

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